ケータイ小説 野いちご

魔法の恋の行方・わがままな使い魔(シリーズ2 クラリスとアンバー)


魔女の国・グランビア家 2-2ページ

<魔女の国・グランビア家の館・15時>


大広間の中央に座っているのは、グランビア家当主である、
エリーゼ・グランビアである。
深い森の緑のドレスと金の髪は薄く透けるベールで被われている。
そして、強い力を放つアメジストの瞳。

娘のクラリスは左側の椅子に座っている。
母親に似ているが、まだ幼い。成人に達するまであと1年ある。
やはり母と同じ緑のドレスだが、その色は若葉の色、そして髪は茶色がかった金、
瞳はルビーの赤。

クラリスはもじもじしている。
このように長く、かしこまって座っているのは苦手なのだ。
早く野原に行きたい。

右側には老婆が3人、みな、ぞれぞれに長い杖を持っている。
老婆の姿ではあるが、本当は違う。
このような正式な集会では招待客はみな、老婆の姿になる。
魔女の国のしきたりなのだ。
この3人の老婆は魔女の国のそれぞれの家系の代表者である。

「それでは交流会の件について、提案いたします」
エリーゼ・グランビアが声をあげた。

クラリスは母親の方を見た。
母はとても美しく、威厳がある。しかし冷たい感じがする。
クラリスと二人きりの時は、とても優しい母なのに。

「今年はグランビア家の順番ですので、クラリスを派遣します。
よろしいですね」

ドン、ドン、ドン。

3人の魔女は同意の意味をこめて、床に杖を打ち付けた。
「派遣にあたっては<使い魔>をつけなければなりません。
それではこれから、その選定を行います」

エリーゼは指を鳴らした。
1回目、床に鶏の卵ほどの大きさの卵が出現した。
2回目 床にダチョウの卵ほどの大きさの卵が出現した。
3回目、4回目と卵の大きさはどんどん大きくなっていく。
6回目には高さ1メートルほどの巨大な卵が出現した。
合計6個の卵が床に並んだ。

エリーゼはまた、指を鳴らした。
卵の表面に数字が浮かんでくる。
1番から6番まで。

エリーゼはクラリスの方をむいて、再度指を鳴らした。
クラリスの目の前の床に、30センチほどの箱が出現した。

「クラリス、その箱から1枚紙を引き抜きなさい」
母に言われ、クラリスは箱に手をつっこみ紙を引き抜いた。
「番号は?」
母が聞く。
「6番」
クラリスは答えた。

その瞬間に6番の卵だけが残り、後の卵は消えた。
クラリスの目は、6番の卵を凝視している。
<なんて・・おおきいんだろう>

エリーゼが宣言した。
「娘、クラリスには、この卵の使い魔がつけられます。承認を」
ドン、ドン、ドン。
3人の魔女は同意の意味をこめて、床に杖を打ち付けた。

「それでは集会を終了します」
エリーゼの声が終わるやいなや、魔女たちは消えた。

大広間にはクラリス、エリーゼ、6番の巨大な卵が残った。


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