Chapter4 欲望の時間


「ん……」
「おはよう。ねぼすけ」
「ゆ…うな…?」
「まだ寝るのか、こいつめ」
「んー……」
うつらうつらと、手だけ軽く掴まれた。夢の中で、いったい何をしているんだろう。
と思っていた矢先、いきなり引っ張られ、翔の腕の中に収まった。
「ちょ、翔…?」
「ずっと……いっしょ…に」






















「はっ…!」
また変な夢だ。
でも、懐かしい気がする。ずっと探している人のような。あの子を探している?私は、あの子に何か想いがあるの?
「…まあいっか」
今日は名波ちゃんと一緒に遊びに行こうと誘われたから、それを考えてる暇なんてない。気にはなるけど、あとで考えればいいよね。

—助けてくれますか?

「え?」

—どうか、届いてくれますか?

「なに?」

—僕たちのこと、忘れましたか?



「なに?なんなの!?」
いきなり声が聞こえてきた。いったい誰の声?誰の…聞き覚えのある声だ。どこで聞いた?私は誰を知ってるの?
…だめ、起きたてで頭が回らない。
「帰ってからでいいか…」


「ごめん、お待たせ!」
「いいよ〜。優奈ちゃん、その服かわいい!」
「そ、そうかな」
わざわざ私の家の前で待ち合わせをすることになっていた。名波ちゃん曰く、少しでも長くお話ししたいらしい。まあ、今までほとんど話してこなかったからかな。
「それで?どうだったの?」
「え?」
「蓮くんとのデート!何か言われたんじゃないの?」
「あ、ああ…」
昨日は…遊びに行って、その帰り際に告白をされて、そしたら知らない人たちに追われて、ロンがグループに所属していると知って、ヲルと知り合って…ほとんど言えないようなことだよ、ね。
「特になにも?」
「本当かあ?私には分かるよ…一波乱があったとね!」
「ははは…」
一波乱どころじゃ済まないくらいなんだけどね。
「ま、特に何もなかったならよかった」
「なんで?」
「そりゃあ…まあ。うん」
「うん?」
「い、行こっ!もう楽しみすぎて浮かれちゃって」
昨日のロンと似たような感じがするけど。まあ、気のせいかな。