翌日、学校へ行くと教室に着いたあたしと蓮に春音くんが大慌てで駆け寄ってきた。
どうしたんだろう。すごく真剣な顔してる。
「二人に聞いてほしいことがある」
そして、あたしたちに顔を寄せてそっと耳打ちしたの。
「「ええっ!! 誘拐!」」
「静かに」
春音くんは唇に指を当てて、驚くあたしたちに静かにするよう「しーっ」とジェスチャーをする。
周りを見て、誰も聞いてないことを確認してからまた話始める。
「昨日いとこが転入してくるって言ったよね」
そう言えば仲良くしてやってとかそんなこと言ってたような……。
「ことりちゃん、だったっけ」
「そう、そのことりが、昨日の朝家を出た後いなくなったんだ」
「確かに学校へは来なかったな」
「それで、ぼくも家に帰った後家族と一緒に捜したんだ。けど見つからなくて……。その後ことりの家にみんなで集まったんだけど、そしたらことりのスマホから家に電話があって」
「ことりちゃんのスマホから?」
「かけてきたのは犯人だ。『娘を誘拐した』って。その証拠にことりの声を聞かせてから無事に返してほしければ金を渡せっていう身代金の要求があった。──金額は一億」
「「一億円!!」」