それは、とある夏休み前日のこと──…
「美緒ちゃん!!」
終業式の日、
HRが終わり、期末テストでは無事赤点を回避することができ、一安心していた時。
かよたんと廊下を歩いていると千花くんが声をかけてきた。
「千花くんやっほ〜!聞いてよ!私、期末テスト赤点取らなかったんだ〜!」
「そうなんだ!オレも今回は赤点取らなかったよ!」
「えっ!?凄い!やったね、千花くん!」
補習同盟を組んだことによって千花くんとは最初の頃より更に仲良くなれた気がする。
そしてキャッキャッと盛り上がる私と千花くんを見てかよたんは「幼稚園…?」と心の中で呟いた。
「あのさ、美緒ちゃん。もしよかったら夏休み…どっか遊びに行かない?」
照れ臭そうに人差し指で頬をかきながらそう言い、思わず私は「えっ!?」と声に出してしまう。
「私でよかったら是非!え、どこ行く!?私まだ夏休み予定決めてないんだよね〜!!」
今年も家で「ドルスタ」のライブのDVD周回する予定だったけど、せっかく千花くんが誘ってくれたし、1回くらいはどこか遊びに行かなきゃね!
来年私、受験生だし(泣)
「その、これなんだけど…」
千花くんはエナメルバッグから1枚のチケットを取り出し、私に見せてくれる。