翌日から、私はまた日常に戻り、鳴り止まない電話と格闘しながら、仕事を熟していた。

水曜日の昼過ぎに、劇場案件のクライアントから
予定のない電話が掛かってきた。

「今すぐ来てもらえないか。事情は来てからで。」との事だった。

嫌な予感しかしない。

お伺いと言うよりは、ほぼ強制のような問いに
私は「はい。」と答えるしかなかった。
魔の悪い事に、藤田さんは別の案件で外出している。

電話をしてみるけど、留守電になった。
一応、留守番電話にメッセージを残した。

要望も聞けないまま、私は一人でクライアントの元に向かった。

山田部長にも相談してみたけど、簡単に突き放された。

「それは大変だね。何かあったら、連絡して来て。」

緊張で、手だけではなく全身が震えている。
クライアント担当者の切羽詰まった口調と突然の呼び出し、どう考えても事態がいい方向に進んでいるとは思えない。

それどころか、最悪なことしか考えられない。

私は今日ほど、仕事で逃げたいと思った事はない。