「今月末の文化祭あんだろ?そこで決着つけようぜ!俺とお前が同時に告白する。それで日葵がどっちかを選ぶ。どうだ?平等だろ?」
そんな会話を聞いた。
どうしたらいいんだろう。
「日葵!文化祭のとき暇?一緒に回ろぜ!」
ぶ、文化祭。瑛多と中村君が決着をつける日。
私がどちらかを選ぶ日。
「い、いいよ!どこ回る?何のお店があるかな?でもクラスのやつの仕事もあるから時間があるといいけどね!」
本当は少し気まずい。瑛多が中村君と宣戦布告をしてから。なんとなく話しにくい。でもそんなことを思っているのは私だけ。
「おう!仕事決まってからだな!」
本当は嬉しかった。瑛多が誘ってくれるなんて。俺様な瑛多が…。
でも素直に喜べなかった。
決めなきゃいけないから。
選べない。でも、瑛多が『好き』って言ってくれたとき戸惑ったけど嬉しかった。そんな風に思ってくれているなんて思わなかったから。
中村君に『好き』って言われたとき何も思わなかった。接点もない私なんかを好きって言われても響かなかった。
2人が真剣に勝負してくれていることは嬉しかった。でもそれでどっちを選ぶなんて出来るはずがない。
どっちにも傷ついて欲しくない。
どっちにも幸せになって欲しい。
瑛多と中村君の思いのどちらかを選ぶなんて私には出来ない。
そんな責任のあることできない。
「蘭ー!どうしよう。聞いちゃったんだよ。文化祭で瑛多と中村君が真剣勝負だって。どっちかを私が選ぶんだって。無理だよ。そんなこと出来ないよ。」
そう言って蘭に抱きつく。
「お、おう。どうした。日葵は難しく考えてすぎなんだよ。自分の幸せは自分で掴むの。周りなんて考えなくていい。日葵はどうしたい?」
蘭の言葉が胸に刺さった。
文化祭当日。
私たちのクラスはメイドと執事のカフェ。私はメイド役になってしまった。
みんなに押されて仕方なくだったけど案外気に入っている。
フリルのついたスカートに白いフリフリのカチューシャ。メイドそのもの。
同じクラスの瑛多はと言うと……たくさんの女子に囲まれている。
「ねぇねぇ。今日一緒に回ろうよー!」
そう高い声で話しているのは神田さん。
色気のある神田さんは美人としても有名。
「わりぃ。無理。約束あるから。」
短い言葉で断る瑛多。
神田さんの顔から血の気が引いていく。
「な、なんでよぉ。私は……」
神田さんが続きを言おうとすると瑛多が遮った。
「わりぃ。俺が好きなのは…あいつだけだから。他の奴らなんかに興味ないから。」
瑛多は今日の端っこのほうにいた私に向けて言ってくる。みんなからの視線が痛い。
瑛多のおかげて私たちのクラスは大繁盛。
他の高校の女子たちが教室の外からも見ている。この感じだと瑛多はなかなか仕事が終わりそうになさそうだ。
「キャー!カッコいい!後で絶対に写真撮ってもらおう!」
周りのギャラリーからの声は大きい。
「あのぅ。仕事が終わったらでいいので一緒に周りませんか?」
1人の女の子が勇気を振り絞って言う。
それなのにあっけなく瑛多は言う。
「無理。だりぃ。てか約束あるし。」
「だ、だよね。男友達とかたくさんいそうだもんね。ご、ごめんね。急に。」
お、男友達じゃない。わ、私だ。
「男友達じゃねーし。女だし。」
瑛多は平然と言う。周りのギャラリーはまだ知らないけどクラスの友達かはの視線がすごい。
瑛多はその女の子のとこから立ち去った。
「あのぅー!すみません!」
男性のお客さんが言う。あんな人たち見たことないから多分他高の人だろう。
「は、はぁい!何にしますか?」
男性のお客さんに声をかけられてうれしかった。
私のクラスには可愛い子が多いから、私なんて目立たないと思ってた。
「アイスココアとパフェとアイスコーヒーとチョコレートケーキで。」
お客さんの注文を聞いてメモをしていく。
「ねぇ、この後時間ある?一緒にまわろうよ!」
お客さんは私を見ながらいう。
ど、どうしよう。
瑛多とも約束があるし、それに。
名前も知らない人とまわるのは………
そんな風に思っていると、後ろから私の首に腕がまわされた。
「すいません。こいつ、俺との約束あるんで。」
後ろを振り向くとそこにいたのは……
目付きの鋭い瑛多だった。
「君たち付き合ってんの?」
お客さんが言う。痛いところをつかれてしまい、黙ってしまう。
付き合って…ない。
「違いますよ。幼なじみです。まだ。」
ま、まだ?
瑛多は澄ました顔で平然とそんなことを言う。
「ならいいじゃん。俺ら女友達にドタキャンされて暇なんだよ。いいだろ?少しぐらい。」
勝手な事情を言われても。それにまだ仕事だって残ってる。
「困りますよ。俺のなんで。」
そう言って私の手を引いていく。
教室は静まりかえっていて、いたるところからヒソヒソ会話が聞こえる。いままで以上に居心地が悪かった。
「え、瑛多。ありがとう。」
一応助けてくれたしお礼を言う。
「当たり前だろ?勝手に俺から離れるなよ。危なっかしいんだから。」
瑛多の耳が真っ赤だ。
そんな瑛多にドキッとしてしまった私。
「わりぃ。今からテニス部のやつらとのイベントあるから行かねぇといけねぇから行くわ。」
「う、うん。」
照れてるのを隠しながら瑛多はその場を去った。
「見ぃつけた。」
急にそんなことを言われて腕を取られた。
目線の先には……中村君がいた。
「ど、どうしたの?テニス部でのイベントあるんじゃないの!?」
「んなことよりも日葵のことのほうが大事だろ」
ど直球に言われて何て言ったらいいのか分からなくなる。
「な、なんで?」
中村君は目線をそらしたあと私の方を向いた。その目には決意したように見えた。
「取られたくねぇから。あいつに。俺がお前を幸せにしてぇから。分かれよ。惚れてんだよ。」
胸の中にあるのは中村君の言葉じゃない。
さっきお客さんから助けてくれたときに照れていた瑛多の顔。真っ赤になっている顔。
「だからさ…」
そこまで言いかけたとき扉の外から走ってくる足音が聞こえた。
ーガラガラ
「翔琉、何してんの?」
目付きが今まで以上に怖い瑛多が立っていた。
「日葵と話してただけだよ。お前は日葵のことになるとうるせぇなぁ。てめぇのもんじゃねぇんだよ。」
2人が睨み合っている。
そんな中口を開いたのは中村君だった。
「瑛多。お前いつまでもこいつの隣にいられると思うなよ。隣にいられんのも今日までだ。明日からこいつの隣にいんのは俺だ。」
「そっくりそのまんまお返しするよ。」
瑛多は私の目の前まで来る。
「お前もなぁ。こんなやつについていくなよ。お前はもう、、俺のもんだろ。」
ードキッ
どうしたらいいのか分からずにその場を走り去ってしまった。
走りながら思い浮かべたのは………
私の心を占めるのは………
そんな会話を聞いた。
どうしたらいいんだろう。
「日葵!文化祭のとき暇?一緒に回ろぜ!」
ぶ、文化祭。瑛多と中村君が決着をつける日。
私がどちらかを選ぶ日。
「い、いいよ!どこ回る?何のお店があるかな?でもクラスのやつの仕事もあるから時間があるといいけどね!」
本当は少し気まずい。瑛多が中村君と宣戦布告をしてから。なんとなく話しにくい。でもそんなことを思っているのは私だけ。
「おう!仕事決まってからだな!」
本当は嬉しかった。瑛多が誘ってくれるなんて。俺様な瑛多が…。
でも素直に喜べなかった。
決めなきゃいけないから。
選べない。でも、瑛多が『好き』って言ってくれたとき戸惑ったけど嬉しかった。そんな風に思ってくれているなんて思わなかったから。
中村君に『好き』って言われたとき何も思わなかった。接点もない私なんかを好きって言われても響かなかった。
2人が真剣に勝負してくれていることは嬉しかった。でもそれでどっちを選ぶなんて出来るはずがない。
どっちにも傷ついて欲しくない。
どっちにも幸せになって欲しい。
瑛多と中村君の思いのどちらかを選ぶなんて私には出来ない。
そんな責任のあることできない。
「蘭ー!どうしよう。聞いちゃったんだよ。文化祭で瑛多と中村君が真剣勝負だって。どっちかを私が選ぶんだって。無理だよ。そんなこと出来ないよ。」
そう言って蘭に抱きつく。
「お、おう。どうした。日葵は難しく考えてすぎなんだよ。自分の幸せは自分で掴むの。周りなんて考えなくていい。日葵はどうしたい?」
蘭の言葉が胸に刺さった。
文化祭当日。
私たちのクラスはメイドと執事のカフェ。私はメイド役になってしまった。
みんなに押されて仕方なくだったけど案外気に入っている。
フリルのついたスカートに白いフリフリのカチューシャ。メイドそのもの。
同じクラスの瑛多はと言うと……たくさんの女子に囲まれている。
「ねぇねぇ。今日一緒に回ろうよー!」
そう高い声で話しているのは神田さん。
色気のある神田さんは美人としても有名。
「わりぃ。無理。約束あるから。」
短い言葉で断る瑛多。
神田さんの顔から血の気が引いていく。
「な、なんでよぉ。私は……」
神田さんが続きを言おうとすると瑛多が遮った。
「わりぃ。俺が好きなのは…あいつだけだから。他の奴らなんかに興味ないから。」
瑛多は今日の端っこのほうにいた私に向けて言ってくる。みんなからの視線が痛い。
瑛多のおかげて私たちのクラスは大繁盛。
他の高校の女子たちが教室の外からも見ている。この感じだと瑛多はなかなか仕事が終わりそうになさそうだ。
「キャー!カッコいい!後で絶対に写真撮ってもらおう!」
周りのギャラリーからの声は大きい。
「あのぅ。仕事が終わったらでいいので一緒に周りませんか?」
1人の女の子が勇気を振り絞って言う。
それなのにあっけなく瑛多は言う。
「無理。だりぃ。てか約束あるし。」
「だ、だよね。男友達とかたくさんいそうだもんね。ご、ごめんね。急に。」
お、男友達じゃない。わ、私だ。
「男友達じゃねーし。女だし。」
瑛多は平然と言う。周りのギャラリーはまだ知らないけどクラスの友達かはの視線がすごい。
瑛多はその女の子のとこから立ち去った。
「あのぅー!すみません!」
男性のお客さんが言う。あんな人たち見たことないから多分他高の人だろう。
「は、はぁい!何にしますか?」
男性のお客さんに声をかけられてうれしかった。
私のクラスには可愛い子が多いから、私なんて目立たないと思ってた。
「アイスココアとパフェとアイスコーヒーとチョコレートケーキで。」
お客さんの注文を聞いてメモをしていく。
「ねぇ、この後時間ある?一緒にまわろうよ!」
お客さんは私を見ながらいう。
ど、どうしよう。
瑛多とも約束があるし、それに。
名前も知らない人とまわるのは………
そんな風に思っていると、後ろから私の首に腕がまわされた。
「すいません。こいつ、俺との約束あるんで。」
後ろを振り向くとそこにいたのは……
目付きの鋭い瑛多だった。
「君たち付き合ってんの?」
お客さんが言う。痛いところをつかれてしまい、黙ってしまう。
付き合って…ない。
「違いますよ。幼なじみです。まだ。」
ま、まだ?
瑛多は澄ました顔で平然とそんなことを言う。
「ならいいじゃん。俺ら女友達にドタキャンされて暇なんだよ。いいだろ?少しぐらい。」
勝手な事情を言われても。それにまだ仕事だって残ってる。
「困りますよ。俺のなんで。」
そう言って私の手を引いていく。
教室は静まりかえっていて、いたるところからヒソヒソ会話が聞こえる。いままで以上に居心地が悪かった。
「え、瑛多。ありがとう。」
一応助けてくれたしお礼を言う。
「当たり前だろ?勝手に俺から離れるなよ。危なっかしいんだから。」
瑛多の耳が真っ赤だ。
そんな瑛多にドキッとしてしまった私。
「わりぃ。今からテニス部のやつらとのイベントあるから行かねぇといけねぇから行くわ。」
「う、うん。」
照れてるのを隠しながら瑛多はその場を去った。
「見ぃつけた。」
急にそんなことを言われて腕を取られた。
目線の先には……中村君がいた。
「ど、どうしたの?テニス部でのイベントあるんじゃないの!?」
「んなことよりも日葵のことのほうが大事だろ」
ど直球に言われて何て言ったらいいのか分からなくなる。
「な、なんで?」
中村君は目線をそらしたあと私の方を向いた。その目には決意したように見えた。
「取られたくねぇから。あいつに。俺がお前を幸せにしてぇから。分かれよ。惚れてんだよ。」
胸の中にあるのは中村君の言葉じゃない。
さっきお客さんから助けてくれたときに照れていた瑛多の顔。真っ赤になっている顔。
「だからさ…」
そこまで言いかけたとき扉の外から走ってくる足音が聞こえた。
ーガラガラ
「翔琉、何してんの?」
目付きが今まで以上に怖い瑛多が立っていた。
「日葵と話してただけだよ。お前は日葵のことになるとうるせぇなぁ。てめぇのもんじゃねぇんだよ。」
2人が睨み合っている。
そんな中口を開いたのは中村君だった。
「瑛多。お前いつまでもこいつの隣にいられると思うなよ。隣にいられんのも今日までだ。明日からこいつの隣にいんのは俺だ。」
「そっくりそのまんまお返しするよ。」
瑛多は私の目の前まで来る。
「お前もなぁ。こんなやつについていくなよ。お前はもう、、俺のもんだろ。」
ードキッ
どうしたらいいのか分からずにその場を走り去ってしまった。
走りながら思い浮かべたのは………
私の心を占めるのは………