3月。

卒業式を目前に控え、私たちは生徒会の仕事に追われていた。



「うーん、やっぱりもっと線太くしたほうがいいかなー」



卒業式の展示物。


美術が少し得意だからって任されたその仕事は、想像以上に大変で……


写真部が撮り貯めた卒業生の3年間を、大きな紙に貼り付けていく。


貼り付けるところまでは写真部も手伝ってくれたから、もう終わってるんだけど……


写真の周りに描く桜の花に、生徒会室の中で1人苦戦中だ。



「絵は苦手だから無理!」って、瞬先輩もにっしーも洋平先輩もごっつ先輩も、私を置いて卒業式の打ち合わせに行ってしまって。


ここへ来て、なんとも薄情な生徒会のみんなに溜め息が出る……



そんなとき、ガラガラってドアが開く音が聞こえた。


誰かが戻ってきてくれた!って、喜びながら振り向いたけど。



「瞬くん、いる?」

「あ、えっと……」



ドアから顔を覗かせたのは、大ちゃん先輩だった。