「何、泣いてんの?」


ヤマジ君が目を丸くして驚いている。


「だって……グスッ……ヤマジ君ッ……ほんとにあの人とキスしちゃうかと思ってんもん……」


それがたまらなく嫌だったんだもん……とは声に出せなかった。



「気持ちの入ってないキスなんてうれしいのかな?」


ヤマジ君はポツリとつぶやいた。


「オレは……そんなんでいいならいくらでもしてやるよ。そんな味気ないキスでいいならね」



「……ヤマジ君て簡単にキスぐらいしちゃうの?」