ワインレッドの柔らかな絨毯。
壁面にはずらりと書棚が並ぶ、異質な空間。
生徒会室。
さながら、王家の一室みたいな部屋。
学校にこんな場所があったなんて。
正面奥の大きな木製テーブル。
その向こう側でゆったりと足を組んで椅子に座る、男。
背後の窓から差しこんだ光が、彼の輪郭を綺麗に縁取っている。
それが、彼特有の儚さを際立たせていた。
「…桜田未来」
通る低い声が、この静かな部屋に反響して。
「君の情報は、ほとんど揃っている」
まっすぐな瞳が、少し細められて。
「傍に置くのに、申し分ない、と判断した」
薄い唇が、にやり、愉快げに歪んで。
「挑発的な女は、嫌いじゃないんだ」
誘うような、声。
「…これは、会長命令だ」
「俺の女になれ」
こんな告白、見たことも、聞いたこともない。