「向井さん、最近いいことありました？」

向井がどことなく浮き足立っている気がして、一花は軽い気持ちで質問をした。

「えっ、いや？そんな風に見えますか？」

「うーん、何となく、です」

「そうですか、ちょっと気が緩んでましたね。気を付けます」

「え、いえいえ、そんなつもりで言ったわけではなく」

一花は慌てて首を横に振る。
向井は優しく微笑んで言った。

「一花さんこそ、最近いいことあったんじゃないですか？」

「えっ？！」

逆に聞かれ、一花は一瞬躊躇いを見せた。
いいことと言えば、最近柳田と付き合い出したことではあるが、まさかそんな浮き足立っていたとは思わなかった。

そんな一花に、向井はクスクス笑う。

「一花さん、わかりやすいですね」

「いや、えっ、な、何がですか？」

しどろもどろになりながら、必死に平常心を装う一花がとても可愛らしく、向井は更に優しく微笑んだ。