「沙織-、ごはんできたよー」

お母さんの声に目が覚めた。

ああ、なんだか幸せな夢をみたな。

全然顔も名前も知らない人なのに夢の中では恋しちゃってた。

夢って不思議だなあ。

でも悪い夢じゃないし、気分はあがる。


「ふぁー、おはよう」

「おはよう」


朝ごはんはいつもトーストしたパンにジャムをぬったものと、お母さんが作ってくれるスープ、それにヨーグルト。

昔から変わらないこのスタイルは、お父さんがごはんよりパン派だったからみたい。

でもそんなお父さんはわたしが小学生のときに事故で亡くなってしまった。