川本さんはああ言っていたけど、私は玲生くんのことが心配で心配でたまらなかった。


あの後、玲生くん達がどうなったのかわかり次第連絡するからと、川本さんに説得された私は渋々自分の高校に登校した。


「玲生くん、無事でいて」


授業の内容なんて全然頭に入ってこなくてぼんやりしたり、時々涙が出そうになったり。


とにかく気持ちが沈んでどうしようもなかった。


教室でずっとスマホを握りしめて川本さんからの連絡を今か今かと待っていた。


頭に浮かぶのは最後に見た彼の姿。


『おまえらなんかに指一本触れさせねー』


私を守るために、おとりになって駆け出していった彼の背中が頭から離れない。


あの後、喧嘩はどうなったんだろう。
彼が怪我していたらどうしよう。それが凄く気がかりで。


あんまりそのことことばかり考えてぼんやりしていたら、休み時間に親友の明日香ちゃんが心配そうに話しかけてきた。


「音葉、どうしたの?遅刻してきたかと思ったら泣きそうな顔して」


「うん」


だけど、もう何から説明していいのか見当もつかない。