(女性21才、学生)

朝方、目が覚めてしまい、なんとなく近くのコンビニまで散歩することにした。

世界が目覚めていく空気は好きで、夜中まで起きている時もたまにこうして散歩にでていた。

私の家とコンビニの道中に公園があった。遊具もそこそこあり、昼間は多くの子供が遊んでいる。夜遅くだと、スケボーをやっている人もいて近所では少し問題になっていた。

と言っても、朝方のこの時間は人はほぼいない。たまにランニングしてるピチピチの人を見るくらいだ。

何気なく公園を通り過ぎようとした時、ベンチで泣いている女の子が目に入った。

こんな時間になぜ?と思ったが、近くに親がいるのかもしれない。素通りしてコンビニで買い物をした。

帰り道、やはり女の子はベンチで泣いていた。

普段なら、声なんてかけないがこの日はどこか気分も良く助けてあげたいという気持ちが強かった。

それが間違いだった。

声をかけようと近づいた時に気づいた。

その子を通してベンチが見えていた。

その子は透けていたのだ。

私は一目散に家に帰った。後ろからあの子の泣き声がずっとついてきたが家に帰るとぴたりと止んだ。

その後、あの公園を昼間何回か通ったがあの子らしき人物はいなかった。

夜は一度も通っていない。もう一度あの子を見てしまったら、どこか遠くに連れて行かれそうな気がして……。