海璃との最後のデートをしてから数日後。
私は海璃と一緒に大阪の病院に来ていた。

余命を宣告されてから7か月がたつ。

私も自分で海璃が見つけてくれたその医師のことを調べると、遺伝子治療では日本国内で5本の指に入るようなすごい医師だとわかった。

今まで通っていた病院からのカルテを持ち、初めての診察を受けると医師はかなり険しい表情をしている。

緊張しながら、私と海璃は並んで診察室の椅子に座っていた。

「進藤さんの場合、病状はかなり深刻です。今から治療を始めても進藤さんの体が治療に耐えられるかどうかは私にも、試してみないとわかりません。それから、私の治療には新薬も使用します。その薬が体に合うかどうかもまだわかりません。その状態で、私は無責任に希望を持たせるようなことは言いません。」
医師がカルテから視線を私たちにうつす。