その日は突然やってくる。


何度もしつこく電話がかかってきているのに気づいて、何事かと電話の向こうに耳を済ませる。


"山瀬先生が事故にあった"


川金院長がお母さんを通じて私に伝えてくれたのだ。
ロールキャベツを煮込んでいた鍋の日を止め、
大きさの合っていない、蓋をかぶせて、慌ただしく家を出る。


行き慣れた病院までのタクシーの道のりが、
やけに長く感じた。


心臓が早鐘を打つ。固く握った手に汗がにじんでいる。


病院に着くと、いつもと変わらない風景だった。
あたりを見回して、知っている人がいないか目を凝らす。


(事故だとしたら、救急車、、、救急外来のところだ。)


先日のことを思い出して、歩みを進め、その看板が下がっているところまで、たどり着いた。


(家族でもないから、入ってはいけない。)