ぼんやりとした目をした君を見ていると
すぐにどこかへ飛んで行ってしまいそうで
繋ぎとめておきたくて
口を開けたはいいけれど、上手く言葉が出てきてくれなかった

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「みーすず!」
そう呼ばれはっとすると同時に今が昼休みだということを思い出した。
「あ、ごめんごめん」
咄嗟に呟く
「さっきからずっと花瀬のことみてるよね、気があるの?」
「えっ!ないよ、ない」
「ほんとー?顔が少し桃色に染まってるけどー?笑」
少しニヤついた顔で壱菜が顔を覗き込んでくる
「気があるっていうか…恋愛感情はないけど、なんか気になるというか…」
そう言いながら頬に手を当ててみた…あったかい
「ふーん。今は恋愛感情ないかもだけど気になってる人にはこれから自然と恋愛感情が芽生えてくるのよ」
絶対にね、と付け加えて彼女は卵焼きを頬張った。
「でも、よりによって花瀬に目につけるなんてねー。ああいうやつ、優しい顔して中身はどす黒いんだから」
確かに花瀬くんは優しい。優しすぎて怖いくらいに。私が花瀬くんの席の近くだった時、授業中にシャー芯が無くなって焦ってたらそっとシャー芯を差し出してくれたり、雨の日に傘を貸してくれたりした。
柔らかそうな茶色の髪の毛、透き通るような白い肌、すらりと長い腕と足。花瀬くんはイケメンの中でもかなり上位のイケメンだ。

「また三鈴ぼーっとしてる」
ぺちっと人差し指でおでこをつつかれた。