「麻有ちゃん。俺達も そろそろ 赤ちゃん欲しいね。」


結婚して三年目。


兄夫婦に 二人目の男の子が産まれ

出産した義姉を 見舞った帰り道。


産まれたばかりの赤ちゃんを 愛おしそうに抱く麻有子に 

自分達の赤ちゃんを 抱かせたいと 智之は思った。
 

「本当?私も 同じこと 思っていたの。」

驚いた声を出す麻有子。

嬉しそうな笑顔で。
 


「俺達 やっぱり 同じ気持ちだね。」

麻有子の肩を ギュッと 抱き寄せてしまう。
 

「うん。」

と頷いて 甘く 智之を見つめる麻有子。


こんなに愛おしい 麻有子との子供。


産まれたら どれほど 愛おしい存在に なるのだろう。



秋のはじめの やっと 風が涼しくなった夕暮れ。



『もっと 仕事を頑張ろう。麻有子と これから産まれる 赤ちゃんの為に。』


幸せな責任感に包まれて 智之は歩いた。