高校に入学して恋ちゃんの家に居候させてもらってから、お母さんに会っていない。

もちろんお父さんにも。

電話で話したことさえない。


でもあるんだよね。

どうしても親に連絡を取らなきゃいけない時。

保護者に書いてもらわなきゃいけない書類を、学校から配られることも。

そういう厄介ごとは、全て恋ちゃんにお願いしちゃっている。


お母さんのお兄さんだからって、甘えすぎだよね。

恋ちゃんに頼りすぎていることはわかっている。

姪っ子という立場を利用して、迷惑をかけすぎだって。


だから私は、高校を卒業したら就職するんだ。

地元を離れるつもり。

大人に頼らなくても、一人で生きていけるようになりたいから。


そんなことを考えていると、制服姿の珀ちゃんがダルそう歩いてきた。