俺の腕の中で、スヤスヤと気持ちよさそうに眠っている彩葉。

かんたんに手が出せるほど無防備な姿に、思わず笑みが漏れた。


「……かわいい」

鈍くさいところもあるけれど、彩葉はいつも感情表現が豊かだった。

どちらかといえば乏しい俺は、彼女といるといろいろな感情を抱いていた。

彩葉から感情をもらっていたも同然だ。


無邪気に笑う彩葉の明るさは底抜けで。

そんな彼女は俺の言葉ひとつで落ち込んだり、怒ったり、笑ったり。

コロコロと表情を変える姿もまた愛おしい。