三ヶ月間の研修中、自らの公休の度に様子を確認しに来てくれた支配人。

知らない人ばかりの中、励みにもなり、顔を見たら安心してホッと胸を撫で下ろす事が出来た。

辛い事も楽しい事も多々あり、覚える事も沢山あって、バトラーの研修以外にも基礎から学べた三ヶ月間だった。

初めて足を運んだエグゼクティブフロアはワンランク上のサービスを提供する客室の階で、各スイートルームも位置する。その他、専用フロントや専用ラウンジなど特別感に溢れたフロアだ。

初日に見学をさせて頂けたのだが、高級過ぎて足がすくむ程の部屋の内装やブランドから出しているアメニティ、最上階から見える夜景など、全てにおいて魅力的だった。そんな場所でのバトラーと言うサービスに驚きもしたが、新しい世界感が生まれて楽しかった。

バトラーと呼ばれる方々の大半は英語が話せて格好良かった。高級ホテルで働くには当たり前の知識なのかもしれないが、私はあまり話せないので空き時間で英語の勉強をしたり、英会話スクールに通ったりしていた。ちなみに以前働いていたリゾートホテルでは外国人観光客も多かったので簡単な英会話は話せるようにスクールには通っていたのだが、バトラーとしてはまだまだ知識が足りなかった。

目まぐるしく過ぎた研修の日々、本日、最終日となりました。

「短い間でしたがお世話になりました。ありがとうございました」

「お疲れ様ね、篠宮さん」
「戻らないで本店に居てもいいのよ?」
「そうだよ、戻らないで一緒に働こうよ」

支配人が車でお迎えに来てくれて、お別れの時にはお見送りの為に手隙の皆で駐車場まで出向いて、優しい言葉をかけてくれた。

本店の方々は皆、気さくな良い方ばかりで人間関係に悩ませられる事はなく、間借りした同部屋の女性とは電話番号を交換して後日、会う約束をしている。