土曜の夜、一緒に食事をすることが、習慣のようになっていく。

平日も、紀之が早く帰れる日は、ひっそりと待ち合せをする。


思いを言葉にしなくても、二人の気持ちは結ばれていく。

二人の時間は楽しくて、とても満ち足りていたから。
 



クリスマスが近づいた頃、食事の後、中央公園のイルミネーションを見に行く。
 

「わあ。綺麗だね。」と沙織が言うと、そっと紀之は肩を抱き寄せた。

はじめてお茶を飲んだ日から、二カ月も経っていた。


踏み込んでこない紀之に、不安になった日もあった。

でも肩を抱く紀之の優しい腕は、沙織の不安を全て打ち消した。
 


熱い思いが込み上げて、そっと紀之に寄り掛かる沙織。

じっと抱かれたまま、静かにイルミネーションを見つめる二人。


いつも賑やかな紀之も、黙って沙織の髪を撫でている。


沈黙が怖くなって、紀之の胸に寄りそったまま、沙織は顔を上げる。


優しく微笑んだ紀之は、そっと沙織の唇を塞いだ。