「で、血飲ませてくれる気になった?」



恍惚とした表情で、目を微かに紅く光らせる。

見慣れているとはいえ、この世のものとは思えないほど美形な彼。

通っている鼻筋に、透き通るような肌、サラサラな黒髪に、アーモンドのような瞳、その全てに引き込まれてしまいそうな気がする。

・・・・・・なにより、その容姿はそれが目的なのだけれど。



「この前も言っただろ。」



真剣そうにする彼を慌てて茶化してしまう。

こんなの、知らない。

知ってる、こうちゃんじゃない。



「えー、ちょ、やめてよ冗談は」



それでも、構わずジリジリと距離を詰めてくる彼は、赤子の頃からよく知る幼馴染だ。

家が隣で、よく行き来する、こうちゃんだ。

眼の前で、私の血を欲しているのは、吸血鬼だ。