夏休み明け、新学期。



「おはよう。矢野さん」


「川藤くん」



昇降口に着き、上履きに履き替えていると、川藤くんに後ろから軽く肩を叩かれた。



「今度さ、俺の好きなシリーズの映画の新作やるんだけど、一緒に観に行かない?」



川藤くんは、制服のポケットから映画館の前売り券を2枚取り出した。



「″愉快な仲間たち″で?」

「違うよ。今度は、俺と矢野さんで」

「えっ」

「一応、デートのお誘いってやつなんだけど」



川藤くんは少し顔を赤らめた。