ひたすら引きこもりで大吾と過ごしたGWが開け

十日振りに真っ赤な愛車に跨ると
後ろをついてくる大吾と短い距離を走る

「帰りコンビニな」

後ろから聞こえた声に頷いて
正門を入った


・・・頑張れ私


自転車置き場に愛車を止めると
真っ直ぐ職員室へと向かった

東白学園では週明けは職員全体朝礼から始まる
今週は特別な連絡事項も無く
あっという間に終わった


「丸山先生はGWデート三昧?」


保健室に戻って早々小崎先生から聞こえた声に
“そりゃアンタだろー!”
なんて突っ込みを入れたくなくて


「いいえ」


態と冷たい返事をすると


「千色ちゃん冷た〜い」


緩い声が返ってきた

馴れ合ったつもりもないのに
いつの間にか名前の使い分けまでしていて

小崎先生は何が可笑しいのか
ケラケラ笑いながら肩を叩いてきた


・・・無視よ・・・無視


青筋を立てようとする米神を制しながら

「仕事、仕事」

声に出して小崎先生から離れる

五月とはいえ今日は風が冷たい
窓の外に設置した温度計を見ながら日誌を書き

常備薬の棚からチェックを始めた私に


「今日、午前中研究会で出張です」


気がつけば背後に立った小崎先生の声がかかった


「分かりました」


振り返らず返事だけすると


「お昼はお弁当が出るらしいから
千色ちゃんは一人で食べてね」


「平気です」


幼稚園児じゃあるまいし
お昼のお弁当くらい一人で十分だ


「お気をつけて」


離れない小崎先生から逃げるように
三つあるベッドのカーテンを全て開けた