木枯らしが吹き始めたその日、私はあの日と同じ周晴さんの実家の前に立っていた。

「希里恵、大丈夫か?」

そう声をかけてきた周晴さんに、
「うん、大丈夫」

私は答えた。

「無理しなくてもいいんだよ?」

そう聞いてきた周晴さんに、
「無理してないよ、周晴さんがいるから大丈夫」

私は返事をした。

「それよりも…」

私は周晴さんの隣に視線を向けると、
「お兄ちゃんまでついてくる必要はないんじゃない?」
と、言った。

「おいおい、何を言ってるんだよ?

俺はな、あんたの親父さんに文句を言うためについてきたんだよ」

「もういい加減に名前で呼んであげなさい…」

喧嘩腰のお兄ちゃんに、雪穂さんは呆れた様子で言った。