季節的にも肌寒くなってきたので、休みの今日は衣替えをしていた。

「すっかり古くなったな…」

毛羽立っているダッフルコートを見ながら、お兄ちゃんは呟いた。

「もう何年着ているのよ、それ」

自分のコートを取り出しながら、雪穂さんは言った。

「大学の頃から着てるから…うわっ、もう10年以上も着てるじゃん」

お兄ちゃんはもうそんなに経ったのか…と、呟いて苦笑いをした。

「そろそろ新しいのに買い替えた方がいいと思うわ。

大晴も去年のコートが着られなくなっちゃったんでしょう?」

そう声をかけてきた雪穂さんに、
「そうですね、さっき着せたらパツパツになってました」

私は言い返した。

「えっ、もうそんなにデカくなったの?

子供の成長って、思っていた以上に早いなあ」

お兄ちゃんは驚いたと言う顔をした。