こうしてあれよあれよといううちにアレックスとロレッタ様の婚約が決まった。

お茶会の後の日々はお父様、お母様、そしてアレックスは大忙しで結婚に向けた準備で皇宮内もバタバタとした感じだった。




そうこうしている間に季節は深まり、あっという間に冬へと変わった。




婚約が決まってからというもの、ロレッタ様は頻繁にオーフェリアへ訪れるようになり、アレックスとの仲はどんどん深まっているようだ。

今や私の婚約者を決める話より、皇太子アレックスの結婚の方に力を入れているせいか何だか私とアレクシス、エヴァン、ジョシュアの4人は蚊帳の外といった感じになってしまっている。







「兄が結婚するなんて羨ましいんじゃない?」


「別にそんなこと思わないですよ。むしろアレックスは皇太子なんだから早めに婚約が決まって良かったです。それに俺はまだまだ結婚には興味ないし…」


「強がっちゃって」


「強がってません」




私はふふっと笑いながら生まれて初めて見る雪を見つめていた。
今日はやけに冷えると思ったらつい先ほどからはらはらと雪が降り始めたのだ。




「どのぐらい積もるのかしら…」


「もっともっと積もりますよ。この調子じゃあ明日の朝には外は真っ白になりそうですね」


「まあ!それはきっと綺麗な景色になるわね」




初めて見られそうな景色に私は心を躍らせていた。
冬の寒さには驚いているけれど、雪を見ているだけで何だか楽しい気分になる。