来たる7月。

とある高級ホテルのホールを貸し切り、パーティーと称される決起集会が幕を開けようとしていた。

大勢の人々が集まってくる中、私と志勇、それから組長夫妻は特別な席に案内されて、立ち位置的にまるで披露宴だった。



「壱華、堂々としてればいいわ。
もしどこぞの馬の骨がちょっかい出して来たら、あたしが怖い目見せてやるから安心して」

「はー、涼ちゃんかっこいい。惚れるわ」

「もう、そんな事言ってないで颯馬もしっかりしてよ?じゃ、壱華、後でね」

「うん、ありがとう涼」



元気づけてくれた涼は、絡んできた颯馬に言葉をかけると、サッとテーブルから離れていった。



「大丈夫よ。わたしも初めての時はドキドキしてたから」

「お母さん……」



隣に座っていたお母さんも、組長さんがよそ見してる間にこっそり耳打ちしてくれた。

みんなの気遣いが嬉しくて頑張ろうと思ったその時。



「たまんねぇ……」



我らが若頭は通常運転。



「結婚式以来だな、お前のドレス姿拝めるの」

「変態」



座っているわたしの太ももスリスリ。

なおかつセクハラ発言かましてきた。

まったく、これじゃいつの日かのデジャヴだ。