日曜日の午後は、中庭にある猫足のテーブルにスイーツを並べて紅茶をゆったり飲む。お嬢様には欠かせないティータイムの時間。

「あら、このお茶おいしいわね」

「はい。以前、お嬢様がイギリスでお気に召されたものを取り寄せました」

ティーカップに口を近づけると、漂ってくる上品な香り。そして、口に含めば大好きなあの味。私は執事の西条大河(さいじょうたいが)に心から感謝する。おいしい紅茶でないと、ティータイムは楽しめない。

大河は、二十代後半で私より少し年上。スーツをしっかり着こなし、私のそばにいてくれる。最初はお嬢様と執事という関係だった。でも、今は違う。

「大河、今は誰もいないわ」

私が辺りを確認して言うと、大河のお嬢様に微笑みは一瞬して意地悪なものへと変わる。そして、私の顔を両手で包んで貪るように唇を奪った。

「んっ……」

中庭に、私の声が響く。大河とは一年以上前から付き合っている。禁断の関係だ。それでも、この関係をやめることはできない。