【Seiha Side】


「はぁ…。」


1日の授業を全て終えて職員室へ戻ると、思わず溜め息が漏れた。

立ち上がろうとしていた菊池先生がじろっとこちらを見てきて、小さく頭を下げる。



「誰のせいで…」

『お疲れ様です。』


職員室を出て行く菊池先生の背中に呟いたところに竹石先生が来て、慌てて口をつぐむ。


今日の昼休みに見た光景をなんとなく思い出して、すぐにまた溜め息がこぼれそうになる。

中庭で並んで座っていた須崎と桜木。

一緒に弁当を食べるその表情は楽し気とはいえなかったけれど、2人にしか分からない空気があるのだろうと思った。


2人が一緒にいるということは、今日は菊池先生は1人であの部室にいるのだろう。

そんなことを考えていたからか、須崎に余計なことを言ってしまった。

桜木となら何も言われないなんて、くだらない嫌味のようなことを。

菊池先生と2人で弁当を食べていたことを知っていると匂わせているような自分の子供っぽさに、今になって呆れていた。