【Seiha Side】


次の授業の前に教室へ戻ると、須崎の机から持ち物を取り出してバッグに詰めた。



『須崎さんどうしたんですか?』

「体調不良だ。」

『ふーん。』


聞いてみたけれどとくに興味もないといった生徒の言葉に少しの苛立ちを感じながら、バッグを持って教室を出た。



『やっぱり須崎さんて存在薄いよね。』

『意外とサボりたいだけだったりして。』


背後で聞こえる声がさらに苛立ちをつのらせて、逃げるように保健室へ向かった。

誰とも群れることのない教室での須崎の姿を思い出す。

この前話しかけて以来、須崎とは会話らしい会話をしていない。

だけど須崎がこんな風に言われるような子ではないことだけは分かっている。


須崎が体調不良で体育を休んだと養護教諭の里谷先生から聞き、胸が騒いだ。

様子を見に行ったときはよく眠っていて話せなかったが、今日はもう授業へ戻るのは無理だろうという里谷先生の言葉に同意して須崎の荷物を取りに1度教室へ戻った。