SIDE 壱華



いつの間にか2月に入って、寒さが格段に増した冬の朝。


窓の外には純白の雪が降り続いて、その光景に志勇の誕生日を思い出した。



誕生日の朝、志勇の体温に包まれて目が覚めて、窓の外は一面雪が舞っていた。


幸せだった日々。思い出したら確かに幸せな気持ちになるのに、窓に映るわたしの表情は変わらない。


わたしはまた、志勇と出会う前のように笑えなくなっていた。


それだけじゃない。窓に映る、棒のような青白い腕。また、痩せてしまったみたいだ。



「よし、後は文書で摘発するだけや。
んー、梟は今頃渡してくれたんかなぁ」



望月は、そんなわたしに何も言わず、ただ寄り添うように時間を過ごしていた。


今日もいつの間にか部屋でパソコンを使って作業をしている。




「壱華、今日から忙しくなるからしばらくここには来えへんで」

「……」

「あと……来週、東京行こうな」



窓の外を眺めていたわたしは、思いがけない提案にゆっくりと首を回した。


東京に行く……?



「なんや、荒瀬組に帰りとうないんか?」



「……え!?」