それからまた家事をし、冷蔵庫の中に入るだけの作り置きのおかずを詰め込み、あたしは実家を後にした。

次にここに帰ってくるときは、あたしはどんな顔をしているのだろ。

ふと過った、悪い想像を振り切るように、あたしは歩き出した。

でも悪い想像というものは、自分の意思なんて関係なく、勝手に大きくなっていく。

そして気付けば、湊のマンションの前にいた。

湊の部屋も知らなければ、連絡する勇気すらない。

だけど今の思考のまま、部屋に独りでいたくなかった。


「結可?!」


どれくらい、そうしていたかわからない。

聞き覚えのある声に名を呼ばれ、ゆっくり視線を向ける。

驚いたような顔をしている湊に、あたしは曖昧に笑った。