「こんにちわ」


いつものように、お客様を出迎える。

ふと顔を上げると、そこには湊の姿があった。


「お疲れ様です」

「ありがと」


少しだけ照れくさくて、小さく笑みを零す。


「あれ、珍しいじゃん。ここに、湊が顔出すなんて」


同じシフトに入っていた麗奈さんが、湊に声を掛けた。


「お前が居るから、あんまり来たくねぇんだよ」

「それなのに、今日はわざわざ来たんだ」

「うっせぇな」


2人のやり取りに、あたしだけ置いてきぼり。

この2人、仲が良いのだろう。

恋愛に疎いあたしでも、2人の様子を見てたらわかる。


「仲、良いんですね」

「全然。湊、大学時代の元彼なの。だから、湊もあたしのこと避けてるんだもんね~?」


「元彼」という言葉に、2人のことを見合わせる。