ケータイ小説 野いちご

岐阜のケーキ屋と車椅子少年。

プロローグ。
翔馬の夢。


そして信長まつりを終わり季節がまた秋から
冬に変わっていく。12月になった頃には、
ショコラのお店もクリスマスケーキの予約を
早めに開始した。

そんな中、伊吹さんがあるポスターを翔馬君に
見せてきた。何だろうかと?と私と翔馬君は、
不思議そうにそのポスターを見る。
『全国ジュニア・クリスマスケーキコンテスト』と
書かれてあった。

「このコンテストを翔馬君出てみない?
最近ケーキ作りも上手くなってきたし
大賞作品には、フランスで有名店でスイーツ作りが
学べるらしいの。パッティシェになりたいのなら
絶好のチャンスだと思うわよ」

フランスの有名店で!?
それは、パッティシェになる絶好のチャンスだ!
翔馬君は、ここのお店をさらに有名店にさせる夢がある。
もし大賞になったら凄い……。

凄いがそうなったら翔馬君は、海外に行ってしまう。
フランスで学ぶということは、そういうことだ。
そんな……。
まだ賞を取った訳でもないのに不安になってきた。

「でもなぁ~やったとしても大賞取れるか
分からないじゃん。全国なら凄い上手い奴とか
いっぱい参加するだろうし……」

「あら。翔馬君にしたら随分と弱気ね?
いいじゃない。参加してみれば。
やらない内から自信がないことを言ったらダメよ~」

話を聞いてきた美紀子さんが呆れてツッコんできた。
美紀子さん……。
そうだ……それだと翔馬君らしくない。

「そ、そうだよ!せっかくのチャンスじゃない。
やれるだけやってみたらいいと思うよ!!」

「菜乃……」

私は、思わずそう口に出してしまった。
思いとは裏腹に……。
本音は、不安で仕方がない。だが
せっかくの夢をチャンスを逃してほしくないとも
思ってしまう自分も居た。諦めてほしくない。

「頑張ってみなよ!!
最高のケーキを作って審査員をびっくりさせちゃおう」

あぁ……また口が。
翔馬君は、ちょっと考え込んでしまった。
そして私の方を見るとニコッと笑う。

「そうだな。審査員をびっくりさせちゃうような
ケーキを作るのも悪くないよな」


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