すっかり、ママの顔になったなー、と思いながら、真湖たちの家を出た羽村は、バス停近くで三上と別れ、歩いていた。

 少し雪がちらつき始めていた。

 ん? と振り返る。

 なにか視線を感じたからだ。

 だが、住宅街の夜道には誰も居ない。

 なんだろうな、と思いながら、また歩き出す。

 ひたひた……

 なんだろう。

 やっぱり、誰か居る――。

 真湖の、バス停から自分の前を歩いていたおじさんについて、夜道を歩いていたら、おじさんが早足になり、急いで逃げたとかいう、しょうもない話を思い出す。