「いいえ、結構です。
羽村さんに川を渡っていただくとか」
……なんの夢を見てるんだ、と羽村は背中で、雪乃が、もにょもにょ言うのを聞きながら、思っていた。
『背中に背負う』から、背負って、川を渡るまで飛んだのだろうか?
発想がわからん、と思いながら、羽村は、自宅のマンションのドアを開けた。
「はい、降りてー。
起きてー。
住所言ってー。
タクシー呼ぶからー」
道路で土下座したまま寝てしまった雪乃を背負い、結局、自宅に帰ってしまっていた。
置いて帰るわけにもいかなかったからだ。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…