「羽村さん、私と結婚してください」

 雪の中、可愛らしい少女のような女はそう言ってきた。

 なんだろう、これ。

 夢?

 今、真湖りんちから出てきたはずなのに。

 まだ実は、真湖りんの家で寝てるとか?

 あ、じゃあ、真湖りんがそっと僕に毛布をかけてくれてるかもしれない、と羽村は期待したが。

 妄想の中で、そっと毛布をかけてくれていたのは、何故か、雅喜だった。

 思わず、逃避しかけていた現実に帰る。

「……ごめん。
 よく聞こえなかったんで、もう一回、言って――」