私、牧野 琴音(まきの ことね)は今、中庭のベンチで弁当を食べている。

もちろん一人で…

中学生の頃、仲の良かった友達に裏切られ、いじめられたことがあった。

それがトラウマで、高校生になった今でも、人が怖くて、友達もいない。

「別に、寂しいわけじゃないし…」

すると突然、背後から物音がした。
驚いて振り向いた瞬間、

「うっ!」

手と口を押さえられ、動けなくなった。

「ごめんね、琴音ちゃん。ここは人が多
いから、別の場所に連れて行くね♪」

なんなんだ、この人…
それに、顔はよく見えなかったけど、
声が妙に明るいし、…しかも いきなり名前で呼ばれた!?

謎の男子は、さっき言った「別の場所」に着いたらしく、かかえていた私をそっと地面におろした。