……たしかに放課後はあけておいた。


だけどどうせ今日も駆くんのペースにもっていかれる。


この前みたいに、
せっせと律儀に待ったりなんか絶対しない……!



そう誓って、わざと時間をかけて帰り支度をしている最中も
駆くんの教室から聞こえる音に耳をすませている自分に気づいて悔しい……。



「ねぇ、衣川さん」


男子に名前を呼ばれて
飛び上がる勢いで顔をあげた。



……あ、ちがった。駆くんじゃない。


駆くんなら"衣川さん”なんて言わないのに。


男子=駆くんになってる自分が怖いよ……。