人との距離の感覚があたしと違う。




乱れたネクタイ、細かいラメがついた赤い唇。




モヤッとするこの気持ちは、たぶん……嫌悪感。



「ネクタイが、乱れてない人が好き……」



なんて、言ってしまって後悔するほどの緊張がはしる。




駆くんは自分のネクタイに触れてから、にっと口角を上げた。




「……生意気言うね?」