第9章





中学生  小松 サトミ

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「ブス美~!お・は・よ!」


「・・・・おはよう・・。」


「ねぇなんで今日も学校来てるの~?」


「・・・・・。」


「あれぇ~無視ですかぁ?」


「・・・ごめん・・なさい・・。」


「ねぇブス美。
いつになったら死んでくれるの?」





私の人生が一変してしまったのは、
中学に上がってからだった。


中高一貫の私立 東京セイレン女子校。


お受験ブームに乗っかった両親に言われるがままに進学したここは、

地獄への入り口となってしまった。




「こらこらリンカ。サトミをイジメたらダメって言ったでしょ?」


「おはようミドリ。だってぇ今日も吐き気を催すブスなんだもん。」



1年生の時に同じクラスになった藤島リンカ。


私はリンカに何もしていない。

リンカの悪口を言ったこともなければ、
彼女の反感を買うような事もしていない。


でも・・“ブスだから”という理由で、
私は目を付けられてしまった。



上履きを隠されるのは日常茶飯事。

トイレの上からバケツの水を被せられるのは日常茶飯事。

教科書が無くなって、

ボロボロに切り刻まれた状態で焼却炉に捨てられていたのは日常茶飯事。


リンカと、その取り巻きに徹底的にイジメ抜かれた中学1年。


親には絶対に言えなかった。


セイレンに受かった時のあの笑顔を見たら・・

決して裕福では無いのに、

私の為に丸桶のお寿司を取ってお祝いしてくれたあの夜を思い出したら・・

高い学費を出して通わせてもらっている事を考えたら・・