あれはなんだろう。

明るい。

何をしているんだ?

誰か座っている。

それは誰だ。

知らない。

知らなくていい。

問題なのは

あれだ。

燃えている。

何かを燃やしている。

それは何だ。

何。

肉だ。

食べ物。

食べたい。

喰いたい。

だが

いまは腹いっぱいだ。

だからいらない。

いらない。

それじゃあ

何の肉だろうか。

見た感じ

鳥や豚ではない。

ジンギスカンは

見た事ないからわからない。

なんだろう?

ちょっと焦げている。

黒い。

牛?

と思ったら

血が流れてきた。

赤黒い。

鉄臭い。

血をたどると

人が倒れている。

死んでいる。

なるほど。

この人の肉か。

この人の

バックの中に入っている

肉。

黒い。

生だ。

隣で肉を焼いている人が

こちらに気づいた。

こっちを向き

また肉に向き直る。

すると

隣で死んでいる人が

立ち上がり

肉を焼いている人の

隣に座った。

手を伸ばし

熱い肉を素手で取る。

熱がる様子もなく

食べる。

食べ終わると

薄くなり

消えた。

隣の人も消え

やがて

ここにあった

全てのものが消えた。

すると

視界が真っ暗に。

しばらくして

視界が明るくなった。

私は倒れている。

血を流して。

痛くはない。

痛くはないが



猛烈に

腹が減っている。

火が燃やしている。

肉を。

黒い。

焦げている。

何の肉?

何でもいい。

焦げててもいい。

食べ物なら。

食べたい。

喰いたい。

頑張って立ち上がり

肉の前に座る。

隣に人がいるが

気にしてはいられない。

素手で肉を掴み

顔の前にもってくる。

湯気が出ているが

不思議なことに

熱くなかった。

それをいいことに

ガブリと噛み付く。

味がしないが

美味い

と思う。

あっという間に

平らげる。

満足。

満足。

満足してしまった。

消えてしまう。

消えて_