一週間後、体育祭当日。

「きゃあああ! 鳳くーん、がんばれー!」

プログラムは進み、お昼をすぎたばかりの借り物競走の真っ最中。

合図とともにスタートした生徒たちが一斉に走り出した。

赤色の長いハチマキを巻いた咲は、体操服の袖を肩まで上げてたくましい腕があらわになっている。

細くも太くもない長くしなやかな腕には、しっかりと筋肉がついていた。

「やばくない? 鳳くんめちゃくちゃ足速い!」

「うん、やばい! カッコよすぎるよ〜!」

思いっきり腕を振って軽やかに走る咲は、ダントツ一位で借り物のお題が書かれた紙を拾い上げた。

『おーっと、一位は一年生の鳳くんです! さて、どんな借り物を探すのでしょうか?』

放送部員の声がマイク越しに大きく響いた。

咲は紙を見たままなぜか固まっている。

どうしたんだろう……?

なにか変なお題だった?

ハラハラドキドキしながら見つめる。

『鳳くん、どうした? 固まったまま動こうとしません! ちなみにお題の中には、かなりきわどいものが紛れこんでいます!』

「なんだよ、きわどいものって」

「めっちゃ気になるんですけど!」