午後7時半。
私が部屋から店に下りると、すでに平良がいた。

「珍しいね?」
「うん、ちゃちゃっと食って帰るわ。」
「なんで?」
「なんでって、テスト前だから。」
「ああ、そっか。」

平良がご飯を食べながらチラッと私の顔を見上げる。

「なに、その顔。」
「え?」

思わず頬に手を当てる。
どんな顔だろ。
早く帰るって言ったから顔に出たかな。

「ちゃんと勉強してんのかよ。」

平良がいたずらに笑う。
なんだ、そっちか。

「ご飯食べたらやるよ。」

私も少しムキになって答える。

「平良もここでやっていけばいいのに。」

ふと私の口から無意識に言葉が出た。
平良が私を見つめる。
ん?
変なこと言っちゃったかな。

「・・・集中できねえだろ。」

平良はそうとだけ言ってまたご飯を食べた。

「だよね、ごめん。うるさいもんね、ここ。」

私もそう言いながらやっと斜め向かいの椅子に腰掛ける。

「そういう意味じゃねえよ。」

ボソッと平良が呟いた。