遊馬くんとは1年のとき、同じクラスだった。

遊馬くんは入学式のときから
目をひく存在だった。

高校入試は首席合格として、新入生代表挨拶をする姿は凛としてとても印象的だった。

よく通る声で、背筋をピンと伸ばして
まっすぐな眼差しで新入生としての抱負を述べる姿は、まさしく優等生そのものだった。


成績優秀だけでなく、中学から陸上で記録も残していて、文武両道とはまさしく遊馬くんのことを言うのだと思った。

同じクラスになって、

容姿だけではなく
佇まい
しぐさ

モデルさんみたいな顔なのに
性格がよくて
おだやかで
誰とも仲良くできて
気さくな人だということがわかって、ますます惹かれた。

遊馬くんのまわりには穏やかな空気が流れて
それでいていつも誰かがそばにいて、
決して派手に騒ぐ人ではないのだけれど

・・・ほかの男子より存在感があった。




クラスの中でその他一人として埋もれてしまうような
何の取り柄もない
普通のわたし

正反対の遊馬くんとは
関わることはないんだろうなと思っていた。

わたしとは違う世界の人・・
わたしとは住む場所が違う。
卒業してしばらくしたらクラスメイトとして遊馬くんがいたことを思い出すだけになっていくのだろうと思っていた。



だからまさか
遊馬くんとこうして
同じ時間を過ごせるなんて思わなかった。