「きゃーっ!!」
柚葉の悲鳴で永遠が飛び起きる。
慌ててベッドの隣で体をがたがたと震わせる柚葉の体を支える。
「柚葉」
柚葉は頭を抱えて体を震わせながら過呼吸になっていた。
いつも枕元に置いている紙袋をすぐに永遠は柚葉の口に当てる。
耳の聞こえない柚葉にはいまは口元に紙袋をあてながらバイラルチェックをするくらいしかしてあげられない。

毎晩のようにパニックを起こすようになった柚葉は体力も限界に近づき、呼吸が落ち着き始めると眠りに落ちる。

永遠は産婦人科にも精神科にも脳外科にも相談していた。それでも解決策が見当たらない。

精神的な不安を和らげようと好きなものを食べたり、二人で出かけているがそれでもパニックの回数は増え続けていた。

眠りについた柚葉のお腹に触れると、体への負担が大きいのかお腹がかなり固く張っていた。
産婦人科の医師から張り止めを処方されていても、早産になるのではないかという心配も常にあった。