「ほーんと、何度観ても素敵だわ!」

「や、やめてよ、からかわないで」

「からかってなんかいないわよ。素直な感想を言ってるの」

二日後、昼下がりのゆったりとした雰囲気のモダンなカフェに私と爽子はいた。爽子はスマホであの日の生中継の動画を観ながら、終始ニヤニヤしている。

「まさか、柚が篠宮先生の婚約者だなんてね。まぁでも、柚が休んでる間、篠宮先生ったら私のところにまできて必死だったのよ」

ホットのカフェラテを口にしながら、思い出したように爽子が笑う。

「え?」

「柚の実家はどこだ? とか、宮本という男が柚を狙ってるかもしれないから用心してくれって」

「そういえば、私、詳しい実家の場所って修さんに言ってなかったかも……」

そもそもあの日、一度帰ったはずの修さんはなぜ戻ってきたんだろう。どうして優がうちにいるってわかったの?

「あ、それね、私! もし柚になにかあったときのためにって、一応篠宮先生と連絡先を交換しておいたの。あの日柚の実家に入ってく宮本を見て、思わず無意識に電話したんだ」

「え、でも、その割には到着が早かったけど?」

「ふふっ、柚が育った町を見て帰ろうと思って、まだ近くにいたみたいだよ?」