第7章






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「こんにちは!」 「こんにちは!」


「昼‘sタイムの時間です。まず初めにお伝えするのはこちらのニュースです。」


「はい。まさに“衝撃の告白”でした。

4人の尊い命を拷問の上に奪った西平ヤスシ被告。

一審、二審共に死刑判決で迎えた昨日の最高裁。

そこで本人の口から、
新たな犯行自供がありました。」


「“黒部リカは俺が誘拐した”

一体この人物は誰なのか?
そして、発言の真意とは?

こちらのVTRご覧ください。」

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「ヒデさん。」


『はい。』


「・・まだサンマ臭いです。」


『同感です。今夜もファブリーズしますので今日は我慢ください。』



七輪で焼くサンマの美味しさはハンパなかったし、

苦労して取り付けた照明の活躍ぶりもハンパなかったが、


どうしても昨日の裁判が頭から離れなかった。

裁判後、“俺もうっすらとしか覚えてないけど”という前置きをした堺班長から、

20年前に神奈川で起きた誘拐事件の事を教えて貰って、

今もこうしてヒデさんと二人でお昼のワイドショーを見ていた。


20年前だろうがさすがはテレビ局。

当時のニュース映像などを交えて、

黒部リカさん誘拐事件の内容を分かりやすく伝えてくれていた。