最近の斎藤くんとの距離は近すぎず遠すぎず。

どうしよう、どんどん好きになってる。

考えただけで胸が締めつけられて、よりいっそう斎藤くんが恋しくなる。

土日になると早く月曜日になってほしくて、会いたくてたまらない。

前はここまでじゃなかったのに、斎藤くんの存在があたしの中でどんどん大きくなっていく。

「コジロー、こっちもうちょいペンキちょうだい」

「了解、何色ー?」

「イエッローで!」

「はぁ? ちゃんと言え、バカ者」

来週末に迫った学校祭の準備中、あたしは教室の後ろで何人かの女子と輪になり、せっせとスーパーボールすくい用のポイを作成中。

放課後、残れる人は残って、コツコツと準備を進めている最中だ。

斎藤くんは数人の男子たちと、あたしたちの隣のスペースで宣伝用のプラカードの制作にあたっていた。

妙にドキドキしてるのは、同じ空間で作業をしているから。

斎藤くんのことが気になって仕方ないよ……。

「うわ、やっべ。ペンキが床についた」

あたしの背後で一人の男子が大きな声を上げた。それは、バスケ部の宮間くん。

「ははは、なにやってんだよ」

「あ、やべ。こっちにも飛んでる」

「おいおい、ハケを振り回すなって。どっかについたら、どうする──」

斎藤くんがそう言いかけた時──。

──ベチャ

「え?」

背中になにかが思いっきりベチャっとついた。

「…………」

まさかとは思うけど。

恐る恐る振り返ると、明らかに動揺して目を白黒させる宮間くん、

その手にはしっかりと黄色いペンキのハケが握られていて、あたしの背中を呆然と見つめている。

「あ、あの……」

「ほらー、だから言っただろ!」

「なにやってんだよ、おまえー!」

「うわー、べっちょりいっちゃってるよ」

「青野さん、マジでごめんっ!」